FUJIWARAの笑いについて


FUJIWARAは互いにボケ・ツッコミの担当枠を超えた笑いを繰り広げる。
コンビは大抵どちらか1人が面白ければ、それで成り立っているようだが、
FUJIWARAはコンビ2人ともおもしろく、それぞれキャラも立っている。


現在は「一発ギャグの原西。スベリの藤本」というイメージが定着しているが、
(本来は「一発ギャグの原西。しゃべりの藤本」なのだが。)
実は、フリートークやネタもおもしろい。
ネタは面白いがトークがダメだったり(その逆ももちろんあるし)など
一般的な芸人というのは、必ず芸がどこかに片寄るものである。
ただ、そのうち1つでもおもしろければ良いのだが、
FUJIWARAはトーク、ネタ、アドリブ、ロケ、素人イジリ、リアクションなどでも2人共がおもしろい。


レギュラーがなく売れていないこと2人ブサイクなのをいじられて
笑いにされることはあるが、ネタやトークがつまらないといじられることは、まずない。
(だから、2人の実力を知るファンにとっては、今の東京でのフジモンの扱いは考えられない。)
明石家さんまさんや島田紳助さんも、「お前らおもろいけど絶対売れへんわぁ」である。

コントをする時など、ボケ役は原西さんで、ツッコミ役はフジモンであるが、
実際は、2人共ボケとツッコミの両刀使いである。
ゆえに2人のコンビとしての笑いはすごい。
通常のお笑いコンビを「1×1」と表現した場合、
FUJIWARAは「2×2」と表現できるのではないだろうか。


またコンビとしての立ち位置が定まってない
各番組やイベント、雑誌撮影、宣材写真など立ち位置がバラバラである。
(本来向かって左側が原西さん、右側がフジモンである)
しかし、本能的なのか意図的なのかわからないが、
どうもセンター寄り(司会者寄り)にフジモンが位置することが多い。
目上の司会者でもガンガンツッコんで行くフジモンにはピッタリの位置である。
また原西さんは(ギャグなどで)すぐに舞台前の広い所へ行けるようソデよりに位置している。
…と感じられる。



そんな彼らの芸風としては、「おもしろくない事をフルテンションでやる」、
「30歳を超えた芸人が幼稚にふざける」
といった部分もある為、
それをそのまま受け取ってしまう視聴者にとっては、
"勢いでテンションだけの芸風だ"と、勘違いされる事は大いにある。
それに、過去(吉本超合金時代)、
FUJIWARAの芸風の1つである「身体を張る」という芸が表立ってしまった為、
ただのリアクション芸人だと思っている方もおられるかもしれない。
しかし、彼らの笑いの本質は質の高いボケとツッコミである。
そして、画面上からも伝わってくるが、
2人がとても尊敬し合い、お互いをおもしろがっているのが伝わる。
2人のプロ根性、芸人魂もハンパでは無い


ファンの中にも、身体を張っている時はおもしろいが、
しゃべるとおもしろくないという意見を持つ人も多い。でもそれは違う。
身体を張っているFUJIWARAをおもしろく感じられたのは、
やっぱり、彼らのリアクション・発言・表情がおもしろかったからだ。
身体を張った事、それだけがおもしろかったのではないという事に気付かなければならない。
もし、本当にそう思っているのならば、
それはただ単に表面的な(見て分かる)笑いしか理解できなかっただけだと思う。
また、大人気を博した吉本超合金のブームに流され本質も見れていないだけである。


ゲスト出演した際などは、つかみとして(原西さん主体で)、
一発ギャグをやる事が多いのだが、
東京進出したばかりの頃はこれがウケないウケない。
客が引くぐらいウケなかった。「急に、ナニ?」ってな感じで。
なのに、フルテンションで一発ギャグを披露する。そしてスベる。
明石家さんまさん曰く、「お前ら勇気あるなぁ〜」。
やっぱり、ギャグって馴染みのない芸人さんだとウケないのだろうか?
その芸人のキャラをある程度、把握していないとウケないものなのだろうか?
ただ、ここ最近はようやく原西ギャグも認知し始められた感がある。
最近、一発ギャグを主体としたコーナーや番組が非常に多くなったきっかけは、
完全に原西さんの影響だと思う。
ただやはりフジモンも負けておらず、最近のコンビとしてのつかみは「顔デカいからや!」である。


ただひとつ。FUJIWARAの笑いを理解するには
なかなか常識人だと厳しいかもしれないのも事実。
バカバカしい、勢いだけだ!」と、お思いになる方もおられるだろうし、
やはり、シュールでスカしたクールな笑いがカッコ良く見えがちなのだが、
バカバカしくふざける。何をするにもフルテンションでやる。
決して自分たちをカッコ良くは見せない。そんな笑い。
さらに2人ともおもしろくないことをおもしろがって見せる笑いもあり、
ここがなかなか伝わりづらいようだ。
まあ、しかしそこにFUJIWARAの大きな魅力があると私は思う。


最近では、全国番組での露出も増え、
いよいよFUJIWARAが天下を取る時が来たかと、私は期待している。
しかし、まだまだ東京では空回りするし、いい見せ場が作れていないのも事実。
とりあえず、深夜でもいいのでレギュラーを持てれば、
かなり世間からの評価はガラッと変わるはずである。
(東京発冠「FUJIWARAのありがたいと思えッ!!」も地味に評判は良いようだ)
正直、大阪時代でもそうであった。
仕事ゼロの時に、吉本超合金のメインレギュラーを与えられブレイク、
そんなどん底から這い上がってきたパワーは半端ではない。



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●2000年03月04日初回更新日
●2009年10月28日追記・修正更新日