バッファロー吾郎の笑いについて


バッファロー吾郎の売りは、やはり「ネタ・コント」であろう。
私も彼らのネタをテレビやビデオで何度も観させて頂いているが、
観る度に違うネタをやっており同じネタを使い回しているのをほとんど見たことがない。
ネタ作りにかけては、すごくこだわりがあり努力されているのだろう。
初代王者に輝いた「キングオブコント2008」では、
予選から決勝まで全て新ネタで勝負したほどだ。
ただ参加すればいい、ただ勝てばいいということじゃないんだろう。
そこにバッファロー吾郎のコント師としてのこだわりが垣間見れる。


バッファローの初期のコントはハチャメチャが売りだった
竹若さんのキモチ悪いキャラが動きまくりボケまくり、
それに対しての木村さんのヒップアタックや回し蹴りのツッコミ。
当時は第2のリットン調査団を思わせるなどと言われていたが、
リットン調査団のように、ただハチャメチャでは終わらなかった。
自分たちがおもしろいと思う事だけをやるというスタンスは同じではあったが、
まだ全くの新人であった彼らは、ネタのクオリティーの高さのおかげで、
「吉本印天然素材」のメンバーに抜擢されたのだから。


バッファロー吾郎はおもしろい。おもしろいんだけど東京では成功しがたいと思う。
バッファローが東京に向いていないと思う要因は彼らの笑いの質の問題だ。
東京では、あまりお笑いの質が高すぎるのもよくないようである。
センスの無い人々がバッファロー吾郎の笑いを見ると、
とてもおもしろい事をやっているのにおもしろくなく見えてしまうようだ。
それは、バッファロー吾郎の笑いを解釈するにはそれなりのセンスを要するからだ。
目に映った幼稚で馬鹿馬鹿しい部分が印象に残り、
目には映らない感性で感じる部分が印象として受け取れていないからだ。

ここが難しく、普通にスベってるわけじゃなく、
おもしろいことをやっているのにつまらなく見えてしまうのだ。
まぁ、私にはつまらなく見えたことはないが、やっぱり見えない人には見えないようだ。


とは言え、東京での活動も多くなったバッファロー吾郎も
現在、まだ全然自分たちを出せていない。
アメトーーク」などでも空回りしているのがよく分かる。
本当は「キングオブコント」がバッファロー吾郎の才能を世に知らしめる良いきっかけになるはずだったのだが、
特異な審査方法によるありもしない八百長疑惑であらぬ疑い、いい迷惑をかぶってしまった…。
まぁ、ちゃんと見てる人は見ているのだろうが、多くの視聴者はそうじゃないようだ…。


キングオブコントでは見事王者に輝いたものの、
過去、漫才コンテストなどでは一度も新人賞などの類を獲得した事がない
でもすごく納得できる。やっぱりおもしろく見えてないのだろう。
その不憫さもバッファロー吾郎らしいと言えばらしいのだが…。
(賞レースで勝ったのは「キングオブコント2008」お笑い人生初ではないだろうか?)


もちろん賞レースで勝たないとおもしろくないのか?というとそうじゃない。
今となっては、ディープなお笑いファンからカリスマとまで言われるほどになった。
また芸人仲間からも、「天才」「神様」だと尊敬されている
元々、木村さんは自分の持ち前を発揮していたが、
それでも世間が竹若さんの才能に気付くのには時間がかかった。
大阪時代からずっとそうだが、バッファロー吾郎と言えば、
木村さんにフォーカスが当たりがちである。現在の東京での活動もそうだ。
木村さんのスベリ芸やギャグが目立ってしまうし、そしていじられる。
ただ、竹若さんの才能なくしては真のバッファロー吾郎じゃない。
(いや、もちろん木村さんもおもしろいんですよ!)
東京での露出も多くなった今、
「つまらない木村」と「大人しい竹若」という風にしか見られていないと思う。
大阪時代も時間が掛かったので、もう少し長い目で見る必要はありそうだが。
あと、余談であるが、私はこの2人を見るたびに、
こんなすごい2人がよく出会う事ができたなぁと、いつもその出会いに感動してしまう。


バッファロー吾郎のコントは「中学生の昼休み」だとよく評される。(本人達も言っているが)
これは何も、ゲームや漫画といったものを扱うネタが多いからだというわけではない。
あくまでも、純粋に自分たちの楽しいと思える遊びに夢中になっているという意味だ。
バッファロー吾郎にとってコントとは純粋に夢中になれる遊びなのである。


それにしても、あまり彼らから「売れてやる!」みたいな意欲が感じられなくは無いか?
「好きなお笑いができさえすれば、それで良し!」というカッコ良さは感じ取れるのだが、
天然素材当時も、その人気絶頂だったその状況を楽しめば良いのにそうはしなかった。
一時期、テレビを拒否して舞台のみに専念していた。
そのような芸能活動は、消極的でナイーブだとも感じるのだが、
本当にお笑いが好きだからこそ、自分たちがおもしろいと思えることを
素直にやりたかっただけなのだろう。
それが舞台だったというだけのことだ。
天然素材解散時も、メガネの自分達が女の子にキャーキャー言われるのは違う。何かの間違い。
そんな中でネタをしても…と自らを冷静に見つめ、
やはりネタのおもしろさを分かってくれる人だけにネタを披露したいという彼らの意思なのだ。
(という事は、彼らにとってテレビなどの露出が少なくても構わないわけだ。
むしろ、自分達からテレビ出演のオファーを断る事も多いらしい。)


で、その舞台だが、バッファロー吾郎のライブやイベントの動員力はすごい。
男性のファンもすごく多い。女性のファンもすごく多い。
それに年々、ライブの規模も大きくなっている。
(「ダイナマイト関西」はあまりにも有名だろう。)
「梅田コマ劇場」や「大阪府立体育会館」など、
通常、お笑いのイベントを行わないような大規模な会場でライブを行い全てを大成功させている。
ファンの声により、彼らのライブがDVDで発売されたりもする。
小規模なライブハウスから始まったバッファロー吾郎のライブ。
これからも目標は、自分たちのライブを全国規模にまで発展させたいとの事だ。



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●2001年07月08日初回更新日
●2010年3月24日追記・修正更新日