雨上がり決死隊の笑いについて


雨上がり決死隊の笑いは、ハードな宮迫さんのボケ
ソフトな蛍原さんのツッコミというイメージで成り立っている。
あくまで「イメージ」という言葉を使ったのは、世間のイメージ程、
宮迫さんのボケはハードではなく。どちらかと言うとソフトボケであるからだ。
相方の蛍原さんや先輩のダウンタウン松本さんなどに対して、
暴言を振るうという様が定着しているため、
宮迫さんの笑いがハードだと思われている節があるがボケ自体は非常にソフトである。
それに対し、蛍原さんもキツいツッコミはしない。
実際のところは、ソフトボケとソフトツッコミのコンビだと感じる。


雨上がりが2人でフリートークをする場合、
ボケとツッコミの役割にはとても忠実であり、
蛍原さんは、宮迫さんの発言に、しっかりと引っ掛かって行く。
「それは何なの?どうゆうことなの?」と、しっかりネタ振りをしてくれる。
(そして、聞き上手であったりもする。)
しかし、それに対する宮迫さんの返しが弱い
基本、何も考えてない。思いつきでしゃべっている証拠である。
コンビの掛け合いが見事に活かせないコンビだと感じる。
と言うのも、宮迫さんから「勢い」「暴言」「暴力」的なイメージをを取ってしまう
と弱い笑いしか残らない。
蛍原さんは良い意味でも悪い意味でも風当たりが弱いので、
「おもしろい・面白くない」という評価はほとんどされない分、
たまにおもしろい事を言うと、とても印象に残りやすい。
雨上がり決死隊は2人きりだとかなり厳しく感じる
やはり、後輩でも先輩でも、いろんな芸人と絡んでいる時が、
彼らのパワーを発揮できる
んだと思う。


その他の芸人とからむ場合なのだが、
その際、雨上がり決死隊のコンビの関係は完全に変わる。
「蛍原さんが宮迫さんのボケの道具になるからである。」
これが雨上がり決死隊らしいコンビとしての笑いである。
同じ天然素材メンバーだったFUJIWARAバッファロー吾郎などだと、
コンビでお決まりのギャグをしてお決まりのツッコミをするという
本来、コンビでできる笑いを雨上がり決死隊はやらない。
蛍原さんの中身のない発言に対して頭を思いっきりしばく宮迫さん。
ドロップキックの対象として蛍原さん。
宮迫さんの自慢話の落差のためにネタフリにされる蛍原さん。
ボケとツッコミの関係がなくなる。

上記で、「雨上がり決死隊は2人きりだとかなり厳しく感じる」と書いたが、
例えば、たくさんの出演者の中の1組、たくさんのひな壇の中の1組だったりすると、
コンビの関係を変えた笑いでやっていけるのだが、
コンビとしての1組としてまとめてしまうと非常に弱くなる。
それが顕著に表れているのが「コンビとして司会」をしている時だ。
コンビ単独の場合「ボケの宮迫&道具の蛍原」の関係に持って行けない。
「ボケの宮迫&司会の蛍原」という姿があるだけである。
申し訳ないが、「アメトーーク!」の成功を司会者のおかげだとは誰も思っていない。
もし思っているならそれは錯覚である。まず企画ありき。そしてゲストありきの番組だからだ。


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●2000年05月20日初回更新日
●2010年02月26日追記・修正更新日