2丁拳銃 川谷修士について

「かっこいい！」、「歌がうまい！」などと言われる修士さんだが、
彼の「笑い・ツッコミ」についてはどうだろうか。
デビュー当時からツッコミとしての実力はすごいものがあった。
的確であり、そしてタイミング、間もいい（しかしボキャブラリーが少ない）。
「おそっ」、「すくなっ」などや、「どんだけ〜やねん！」等のツッコミを
多用するのもよく見られる傾向であったりする。しかし、
これらのフレーズは、「吉本超合金」で共演していたFUJIWARAさんの影響が
大きいと思う。これは余談だが、現在の関西のツッコミの芸人は、
このフレーズを本当によく多用する。
私としては、こういったツッコミをする若手を見ると、
どうしても、ただの亜流で独創性が無いなぁと感じてしまう。
修士さんもその１人になっているのがもったいないと感じる。

東京へ進出してからというもの、関西エリアでは、
なかなか彼らの活躍ぶりを見ることができなかったのだが、
最近では全国番組でネタを披露する機会も多い。
そこで、私が感じたのは、修士さんのツッコミに独創性が出てきたという事だ。

昔から、ツッコミの技術は素晴らしかったのだが、
スマートすぎるツッコミのせいで、何か物足りなさがあった。
それに、修士さんらしいツッコミというのも無かった。
今の2丁拳銃の漫才を見ていると、小堀さんのボケを操るかのごとく、
修士さんのツッコミが１つの大きな柱となっている。
修士さんという柱が無ければ、ボケの小堀さんも倒れてしまうぐらいに、
漫才を回し、ボケを活かしまくっている。
そして、どんな小さな細かいボケをしっかりとツッコむ事ができている。

そして、「声」だ。最近、少し、かすれたハスキーな声質になった。
これが、さらに修士さんのツッコミに価値を付けているような気がする。
「ツッコミ」に重要なのは、発している言葉の内容ももちろんそうだが、
それ以外の 外枠の要素である、
「タイミング」「表情」「手振り」「声質」「声量」などが
絶対的に不可欠な要素であると思う。修士さんのツッコミは
これらの要素を全て満たしているツッコミであると言えよう。
こういった要素を含め（もちろん経験等も）、
修士さんのツッコミに独創性が出てきたと私は感じている。

しかし、それはあくまでも「漫才中でのツッコミ」での話しであり、
フリートークなどになると、少し弱くなる。
これは2丁拳銃のお２人に言えることであり、そのため、
どうしても、フリートークでの2丁拳銃に印象が無くなってしまう。

それにリアクションが弱い、ヘタである。
罰ゲームなどで痛い目にあっても「イタイッ」「ヤバイッ」だけで終わってしまい、
後に残るのは「笑い」でなく「かわいそう」である。笑いが生まれない。
まあ、リアクション芸人ではないので、そこは多めに見られるのだが…。

番組の企画で、バンジージャンプをしなくてはならなかった時も、なかなか飛べず
「もっと楽して売れたいわ！」と、ボケでなく本気で言ってしまうのは、
かなり、芸人根性が足りないのではないだろうか。
これはプールで高飛込みをしなくてはならないのに
結局できなかったナインティナイン矢部さんにも同じことが言える。
ツッコミだから許されるというわけでもないと思うのだが…。

そして修士さんは少し熱くなることろがあり、
番組の中でそういった一面を見せる時がある。
熱くなってキレてマジになるのは芸人としていかがなものか。
例え、そういった状況の中ででもどうにかして笑いに結びつかせてほしい。
タレントじゃなく、芸人なんだから。

ツッコミ以外での芸、もしくは自分一人でも笑いを生む力があれば、
2丁拳銃としても、すごく意味のある大きな武器になると思う。