千原兄弟の人気について


千原兄弟の人気についてだが、大阪で売れる事と東京で売れる事の違い
これ程まで、まともに身をもって体験した芸人はいただろうか。
過去に、関西芸人が東京進出を果たし失敗した例はたくさんある。
しかし、こんなに大きな落差の違いのあった芸人がいただろうか?


吉本総合芸能学院NSC8期生の千原兄弟。
今にして思えば、NSC8期生はレベルの高い芸人が多く集まった時代であった。
しかし、同期生に対して、千原兄弟は完全な遅れを取っていたようだ。
FUJIWARAやバッファロー吾郎らが吉本印天然素材として東京へ進出。
そして大成功を果たす。(千原兄弟も天然素材のオーディションを
受けたらしいが天然素材にはなれなかった。)


同時期、心斎橋筋2丁目劇場では「ワチャチャLIVE」と呼ばれるライブが行われていた。
そこで、頭角を現したのが「千原兄弟」、「ジャリズム」である。
テレビへの露出度も比較的高く、後に、吉本印天然素材の人気をも超えるほど。
関西ローカルと言えど、ダウンタウン以降の芸人で、
ゴールデンでメインレギュラーを持ったのは、現在でも千原兄弟だけであった。
レギュラー「すんげーBest10」(この番組は深夜枠)はあまりにも有名。
その中で、現在の「チハラトーク」の原型とも言える「バカトーク」のコーナー。
そこで、彼らの才能は爆発していた。
大阪では女子中高生を中心にカリスマとまで言われた。
ダウンタウンや天然素材が不在の2丁目劇場のリーダーは千原兄弟だった。
しかし、それは、席が空いたからという事でなく、実力で勝ち取った席であった。
大阪城ホールを満員にしたのもこの頃。
大阪ではやり残したことが無いと思われるほど人気を極めた。


そして、満を持して千原兄弟とジャリズムが東京進出し大成功!
…と言いたい所だが、
会社が無理やりタイミングも計らずに、彼らを東京進出させたように思える。
そして、東京進出は失敗に終わった…。仕事も人気も大きく減った。
千原兄弟はレギュラーゼロ。ジャリズムは解散(解散の理由は他にあるが)。
そして、実力への評価も低くなった。確かに、大阪時代と比べ芸風は丸くなった。
しかし、真のおもしろさは変わっていないと思う。
大阪時代と変わらないキレた笑いやトークをしていたはずだ。
なのに、なぜ東京でブレイクできなかったのか?


まず1つ目。
見た目の風貌で損をしているという事が考えられる。
1年後輩で、東京で成功したナインティナインは、
逆に、見た目で得をしている。親しみやすさがり安心感もある。
お笑いの実力とは全く無関係な部分であるのにも関わらず、
東京では、多少とはいえ、そういった事がタレントとして売れる要因につながっているように思える。
正直、千原兄弟に親しみや安心感といった要素は無さ過ぎる。
(お笑い芸人としては、それが財産だとは思うが、タレントとしては必要とされない要素である。)
実際のキャラは、ジュニアさんがガリガリで、体力も全然無い人であり、
お兄ちゃんは天然で、後輩などからもブサイクとイジられる親しみやすいキャラであるのだが…。


そして2つ目。
全国区で売れる為には、「ベタな笑い」もしなければならないからだ。
東京での笑いの基本はベタでなけれなばらない。
もっともっと分かりやすい笑いをやらなければならかった時期に、
「エンタメゆうえんち」などでは、自分達がおもしろいと思う事だけをやりすぎた
センスのあるお笑いファンが観て、面白くないと思われる事もしなければならない。
しかし、千原兄弟は(したくても)それができなかった。
それに、千原兄弟はシュールな部分とベタな部分の差が激しいコンビでもある為、
シュールを理解できない人々には、ベタな部分しか印象に残らなかった。
悔しいかな。それらの中間のレベルのネタができればよかったと思う。


3つ目。
いつまでたっても、千原兄弟が東京のお笑い界で
自分たちの居場所が見つけられない最も大きな原因と考えられるのは
ダウンタウンと芸風がかぶる事によるものだと思う。
(お笑い界に、同じ役割の芸人は2組もいらない。)
よって、お笑い界では、彼らの存在するべき居場所が無くなってしまい、
いい意味でも悪い意味でも役者の仕事が増えてしまい、
それが千原兄弟の東京での役割(居場所)となってしまった。


大阪時代と比較すると、仕事は減り、人気も無くなった。評価も下がった。
しかし、ジュニアさんが起こしたバイク事故後。
この時期を境に心境の変化もあったのだろう。
自分が進むべき道、また自分が取るべき姿勢、そういったものが大きく変化したと感じる。
そして、最近露出も上がってきたように思える。
だから、まだまだ彼ら千原兄弟に期待する余地は十分にあると思う。
全国区でも「カリスマ」と呼ばれる日が来る事を。



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●2003年10月03日初回更新日
●----年--月--日追記・修正更新日