フットボールアワー 岩尾望について


吉本興業のブサイクランキングで殿堂入りを果たし、
そして、最近ベンツを購入したフットボールアワー岩尾さんについてだが、
まず、岩尾さんから切り離すことのできないブサイクについて書いてみたいと思う。


世間の人々は、岩尾さんに対して、
「ブサイク」「おもしろい顔の人」というイメージが大きいと思うのだが、
岩尾さんにとって、それをすごくかわいそうな事であると思っている。
お笑い芸人にとって、それらの要素は武器であるしプラスになる材料ではある。
しかし、岩尾さんに対してはプラスに働いていない気がしてかわいそうと思ってしまう。
岩尾さんは発想力で勝負できる芸人であり、その実力・才能は、
誰もが認めるところだと思う。であるがゆえにブサイクがそれを邪魔する。


フットボールアワーの漫才はブサイクをネタにする事が多いのだが、
決して、「ブサイクをネタにしたらウケるぞ!」という気持ちは無いはずだ。
それに、ブサイクネタはつかみで使用することが多く、
「またブサイクネタか…」と一般の人には誤解されることも多いと思う。
しかし、私は本人達はブサイクをネタにはしたがっていないと思う。
そんなネタをしなくても、充分笑いを取れる芸人だからだ。
ブサイクだからやっておかなければならないという義務的なネタになっているようで、
それまたかわいそうな気がする。


吉本興業ブサイクランキングで常に1位であった130Rほんこんさんと、
それを見事に塗り替え現在1位の岩尾さんのブサイクとは異なるタイプのブサイクである。
ほんこんさんの場合は、自分でも自覚していて、それを用いて自虐的なボケをする。
一方、岩尾さんは自分はブサイクでないとう前提で架空の発想ボケをする。
実はこの差は大きく、ほんこんさんはブサイクを自虐的に認めるボケであり、
それ以上でもそれ以下でもないのだが、
岩尾さんは「ブサイクと違いますよ!」と、まず発言しておき、
(それだけで終わると、ただ否定しているだけだが)、
その後に、「今日たまたまです」、「今日はまあまあイケてる方です」、
「一流のメイクさん、スタイリストさん、デザイナーさんがよってたかって僕のブサイクを作り上げてるだけですから」
とボケる。
否定するからには、それなりにボケなければ落ちない。
ゆえに、ブサイクを武器とはしていないと私は言い切る。
ブサイクは「オチ」ではなく「ネタ振り」である事に気付いて欲しい。
ブサイクと言われた時に、どうおもしろく切り返すかという部分。そこを着目して欲しい。


あと、体中が毛深いというのがある。脱ぐと乳首の周りは毛だらけだ。
しかし、毛が生えているという事だけで笑いは取らない。
「今まで振った女の数だけ生えてるんですよ。」とボケる。
やっぱり、このへんはさすがだなと思う。
しかし、最近頭がハゲてきており、ハゲをいじられることも多くなったのだが、
ブサイクや体毛の濃さに比べて、ハゲネタが弱いのだ。
ハゲをいじられたときの返しが弱いのだ。
世間がブサイクを見慣れてきたのと同時に、今度はハゲをいじられる頻度が高くなる
ブサイクで見せた返し以上に、ハゲに対してもおもしろい返しを期待したい。


いきなり冒頭から容姿のことばかり書き過ぎたが、
次は「発想」について書いてみたい。やはり、何と言っても、
岩尾さんが、いや、フットボールアワーが今の地位を築くことができたのは、
岩尾さんの発想があってのことだと思う。
その才能はデビュー当時から目を見張るものがあった。
フットボールアワー結成前に組んでいたコンビ「ドレス」時代からすごかった。
当時の相方はメガネの金重さん(現在、漫画家さんらしいです)。
漫才ではなくコント。それも不条理なシュールなコント。
なぜか2人とも標準語でコントをしていた。しかも棒読み。
岩尾さんはブサイクで、金重さんはメガネで地味。
そんなドレス(そんな華の無い2人のコンビ名がドレスというのもシュール)が、
たくさんの新人の中から出てきたのは、「ネタの発想」これ一言に尽きる。
しかし、現在、フットボールアワーとしてはスタンダードな漫才をする。
そして、そのスタンダードな漫才の分野でも新人賞を総ナメするなど、
若手漫才師の中でもフットボールアワーは群を抜いている。


形態はどうあれ、やはり、「発想・ネタ」。
これが自身の最大の武器である。世間的に言われているような
「フットボールアワーのブサイクな方のおっとりとしたキャラがおもしろいよね。」
という解釈はちょっと違う、と思う。
(タレントとしてキャラクターが大切なのは言うまでもないが。)
決して、顔やキャラで売っていこうとは思っていないはずである。
独自のネタ・センス・発想で勝負したい芸人さんだと思う。


いわゆる、「芸人」「漫才師」という角度から岩尾さんを見ると
私の中ではほぼ完璧かなと思うのだが、
これを「お笑いタレント」という角度から見ると、ちょっと弱いかなと気になる。
特に、たくさんの全国区のお笑いタレントの中にいると目立たない。
もちろん、おもしろさはダントツだと私は言い切るし、
ネタを振られても、しっかりボケて返す。
しかし、覇気のある芸風じゃないため、自分から前に出て行く芸風でなく、
やはりイジられないと自分からしゃべり出す事も少なくない。
しかし、これは芸風というよりも性格的な部分が大きいのかなとも思う。
このあたりは130R板尾さんよゐこ有野さんに通じる部分も感じる。
いや、どちらかと言うと、このお2人はそれが大きな芸風になっており
そういうキャラクターであると世間にも確立されているが、
岩尾さんの場合は、そこまで確立しておらず、
そういう意味では(せっかくおもしろいボケができるにも関わらず)、
キャラとしては中途半端かもしれない。


で、結構、照れ笑いしながらしゃべる事があるのだが、
せっかくおもしろい事を言っているのに、これがまた中途半端な印象を与える。
(人柄が出ていて良いところでもあるんですけどね。)
ボケる時に照れ笑いなどしてはいけない。
自分で自分のボケに笑っているような印象を与えてはいけない。

だからと言って、どや顔をしろとまでは言わないが、
フリートークの時も、漫才の時のようなポーカーフェイスであるべき。
東京で売れるには、おもしろいネタが書けるとか大喜利ができるとか、
そういった部分ってあまり必要な要素じゃなかったりする。
どれだけ前に出られるか、どれだけ他に無いキャラクターを持っているかだと思う。
今日、それほどおもしろくない芸人が売れているケースは
これに当てはまる事が多いだけである。
そこでこれからの岩尾さんの課題は、最高のボケ師としての仕事よりも、
お笑いタレントとしてどう目立って行くかだと思う。
あくまでも今よりも売れるための課題であり、
芸人としては、私の中ではもうほぼ完璧である。天才ですよね。



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●2005年01月26日初回更新日
●2008年05月26日追記・修正更新日