FUJIWARA 藤本敏史について


FUJIWARA藤本さん(以下、フジモン)と言えば、テンションの高さと顔と声のデカさだ。
そして、根っからのお笑い大好き人間である。
幼少の頃から人を笑わすのが好きでクラスの人気者タイプ。
すでに高校時代にはプロのお笑い芸人として食べて行くと決意していた。


コンビの役割としては「ツッコミ」だが芸風は完全に「ボケ」である。
(初期はフジモンがボケ担当であり、FUJIWARAのネタも全てフジモンが考えていた。)
通常、コンビのツッコミ役の人がネタを考えたりボケたりという事は少なく、
トークでも聞き手であったりする事が多いようだが、フジモンは違う。
1人でもうるさいほどよくしゃべるし、ボケまくる
それは本番や舞台の上だけではなく、楽屋やプライベートでもうるさく常にテンションは高いようだ。


フジモンの頭の回転の速さには目を見張るものがある。
それに、ただうるさくしゃべっているだけではなく話術もしっかりしている。
しかし、原西さんは誰が見ても面白いと感じるのに対して、
フジモンの場合は誰が見ても面白いとはなりづらい所があるようだ。


と言うのも、フジモンは正統なボケができるにも関わらず、
小学生が言いそうな事をフルテンションでやってしまう。
一般視聴者が見ると、「面白くない事を必死にやってる!」、「勢いやテンションで、ごまかしてる!」などと見えているに違いない。
でも、それは違う。フジモンは敢えてそういう事をしているのだ。
なぜ?それはもちろんおもしろいからである。一周回った笑いなのだ。
面白くないことをおもしろいと思って言ってしまうのと、
面白くないことを面白くないとわかった上であえて言うのとでは全く意味が違うし、
結果も違う(面白くないから、おもしろいのだ)。そこをおもしろがっている笑いである。
それに気付けずに、「うわっ!面白くない」と、思っていた方は、
それはあまりにもそのまま解釈しすぎ。笑いの表面しか見ていない。
これがフジモンの笑いが分かりづらい要因の1つである。


例えば、頭をポンポン叩かれれば、「釘か!」
会話の流れを止めるな!と言われれば、「ダムか!」
熱いライトを近づけられると、「パンか!」
…といったようなツッコミをする。
この面白くないツッコミがおもしろいのだ。
しかし、(当然ながら)視聴者はおもしろいとは理解しづらい。
単純な小学生でもできそうなツッコミだとそのまま感じるのだろう。
フジモンはズレた笑いというか少し斜め上を狙ったようなボケやツッコミを好んでする
このズレ方がなかなか世間には伝わりづらいようだ。
ただし芸人仲間にはめちゃめちゃウケる。
意図的に深夜的な笑いを作り出していると言えばわかってもらえるだろうか?


東京進出後、「キャラ付け」が必要だと感じたのか意図的にパターン的な笑いをやるようになった。
まず東京進出してしばらく意識的にやっていたのが「古いねん!というパターン」
一昔前の流行語やギャグ、CMのフレーズを用いてボケる。
おもしろいのだが、効果的ではなかったか?


それ以降のいろいろやってはいたが、
最近では「顔デカいからや!」を意識的に頻繁に使うようになった。
このパターンはわりと効果的だったようで、
ゲスト出演した各番組でも司会者側からネタフリされることも多い。
東京ではこういったキャラ付けを意識したお決まりフレーズが重要なのだ。


次に。これは大阪時代からもよくやっていたのだが人のギャグをパクるというパターンがある。
しかし、実際にはただパクっているわけではなく、たった今、本人がやったギャグをその場でそのまますぐにパクる、というパターン。
原西さんが新ギャグを披露した瞬間にすぐにそのままパクる。
原西さんから、「いや、今、俺がやったやん。すぐ取らんといて!」とツッコミが入る。
…という笑い。パクったそのギャグで笑わそうとはしているわけじゃない。
しかも少しアレンジするのだがそれがすごく幼稚なアレンジの仕方。
そこがおもしろいのだが、視聴者はそこまでは見れない(気付けていない)のか…。


次のパターンとして、他の芸人の流行ったギャグをつまらなくパクるパターン
「テツandトモのなんでだろう」、「オリエンタルラジオの武勇伝」、「天津木村のエロ詩吟」…などなど。
視聴者からすればただ単にパクっているとしか見えないのだろうが(ここでまず誤解される)、
これらの流行ったギャグをつまらなくパクるという、これまたズレた笑い。

■なんでだろうの場合:
「なんでだろう♪なんでだろう♪ななななんでだろう♪今も世界のどこかで起きてる戦争で罪の無い子供が犠牲になってるのなんでだろう♪」

■武勇伝の場合:
「武勇伝武勇伝…、いかつい奴らに囲まれた。そいつら全員やっつけた!はい武勇伝武勇伝…」

■エロ詩吟の場合:
「駅の券売機で切符を買ったらぁ〜ぁ〜、なんだか電車に乗れそうな気がするぅー」

…とつまらなく(普通にアレンジして)パクる。
そう、笑いになっていないからおもしろいのだ!
この斜め上にズレた感じの笑いをそのまま「面白くない」と思うのか、「面白くないからおもしろい」と感じるのか、
フジモンの笑いを受け入れられるかどうかを判断する要素でもある。
これらのズレた感じが非常に誤解されやすく、
フジモン自体が誤解されてしまう要因になっているのだと思う。


「離れツッコミ」というのもあるのだが、
視聴者にすれば、「なぜツッコんだ後に離れて行くのだろう?」と疑問で仕方ないのだろう。



そして、さらに一般視聴者に誤解を与えてしまうのには、
あのテンションの高さ、デカイ声、前へ前への芸風、おいしい所は全部持っていくという芸風に問題があるとも言える。
そのおかげで、「勢いだけ」「ウザイ」いう声も多いが、
あれは「芸風」であって「芸」では無い。勢いだけで笑わそうとはしていない。
それを受け付けられるかどうかで、評価は大きく変わるのでは?と思う。
それに、相方の原西さんがウケていたとしても(FUJIWARAとしては良い事なのに)、
自分がおいしくなければ自虐的なキレ芸をやってしまう(という笑い)。
これもただ卑屈な人間としか映らないのだろうか…。


今の過小評価されたフジモンのイメージを作ってしまった要因は、
東京進出後、準レギュラーとして登場しためちゃイケ「恋のかま騒ぎ」である。
このコーナーではいつもフジモンがオチ(トリ)に使われていた。
まさにフジモンの為にあるようなコーナーでありおいしい扱いであった。
だがしかし、大阪時代のフジモンを知らない人々に対しては、
とても大きな誤解を与えてしまうコーナーであった。
かま騒ぎでのフジモンの役割は完全な「イジられ役」である。
危険なのは、それだけがフジモンが見せられる要素になっていた事だ。
フジモンがどれほどおもしろい返しや、おもしろいボケをしていても、
共演者がフジモンをうるさくてただのキレ芸、イジっても何もしゃべれない芸人だという扱いでをイジってしまう。その為、最悪の印象を植えつけてしまった。
(視聴者はテレビの中の状況を、そのまま鵜呑みにしてしまう)
しばらくはこれらの印象やイメージが非常に強く、
各番組においてもどうも周囲に藤本で笑ってはいけない空気が充満していた。
また、フジモンに対して(スベるのを前提とした)悪意あるネタフリが多かった
フジモンをスベらせたら笑いになるという変な風潮があった。
実際、この影響はとんでもない代償でありフジモンが過小評価されている最大の要因である。
FUJIWARAがプチブレイクしたここ最近では、
こういったイメージはかなり払拭できて誤解も解けたようだが!?


もともと大阪時代でもイジられるという場面は多く、、
後輩からも、「うるさい!ジャガイモ!ヘタレ!」などというイジられ方はされていた。
それはなぜか?イジられないと何もできない芸人だから?いや、当然違う。
それはフジモンが返しの天才だからである。
頭の回転が速くどんな言葉でイジられようがどんな角度からイジられようが、
絶対におもしろい返しをする。であるがゆえにイジられ役が務まるのだ。
例えばひな壇でゲストで登場したとしても司会者は真っ先にフジモンをイジる。
最初のつかみとして必ず笑いが生まれるからだ

特にダウンタウン松本さんはたくさんゲスト芸人がいても、必ず最初にフジモンをイジる


しかし本来、フジモンはイジる側の芸人である。
後輩芸人、ミュージシャン、素人などをイジらせたら天下一品である。
しかし、今は完全にイジられる側になってしまった為、
イジる側の芸人は逆に打たれ弱いという事があり、
東京では非常にやりづらくしているのが画面から伺える。


相方の原西さんがギャグマシーンとしてウケているため、
原西さんがギャグを披露して爆笑を取ったあと、必ずフジモンもギャグを振られる
しかし、どうしても原西さんと比較されるがためフジモンはスベっているように見える。
(いや、実際スベっているのだが…)
しかし、それはただの無茶振りである。
正直、突然ギャグを振られて爆笑を取れる芸人なんているわけがない
そんなことはお構いなしで、無茶振りされたフジモンがつまらなく映ってしまう。
そもそも、一発ギャグで毎回爆笑を取る原西さんが特別であり、
それに、フジモンはギャグを売りにしている芸人はない
ギャグマシーン原西さんを相方に持つフジモンのかわいそうな宿命である。


また、ひな壇に座ることも多いが、その時の(カメラに映っていなくても)
外野からのガヤやツッコミ、これもまた天下一品である。
視聴者にとってはウザいと思われる(誤解される)ようだが、
このガヤやツッコミに助けられている芸人は多い。


大阪時代はいつも楽しそうに無邪気に仕事をしていたが、
現在、全国区での仕事っぷりを見るといつも怒っているように見える。
また、大阪弁で乱暴で下品に聞こえるツッコミを多用している。
それらは決して、ゴールデンタイムに出てくるタレントとしては悪い印象しか残らない。
(別に怒っているわけでなくツッコミ芸なのであるが…)
今のフジモンは露出するほど、マイナスのイメージだけが定着してしまう。
もっと愛嬌振りまいてもいいんじゃないですか?



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●2000年03月04日初回更新日
●2009年10月26日追記・修正更新日